「SNSのことは、あの人しかわからない」。そんな状態になっていませんか。担当者が休んだり、異動したり、退職したりした瞬間に、投稿が止まってしまう。これを「属人化(ぞくじんか)」といいます。特定の人に仕事が頼りきりになっている状態のことです。
属人化を防ぐいちばんの方法は、運用のやり方を文章に残すことです。つまり、SNS運用マニュアルをつくることです。
この記事では、マニュアルに入れておきたい項目と、無理なくつくるコツを紹介します。
SNS運用マニュアルが必要な理由
SNSの運用には、目に見えない「やり方」がたくさんあります。どんな言葉づかいで書くか、どんな写真は使わないか、だれに確認をとるか。担当者の頭の中にしかないこうした決まりごとは、引き継ぎのときに抜け落ちやすいものです。
マニュアルがあると、次のようなよいことがあります。
- 担当者が変わっても、同じ品質で続けられる
- 新しく入った人が早く慣れる
- 「これは投稿してよいか」と迷う時間が減る
- トラブルのときに、あわてずに動ける
完璧なものを目指す必要はありません。まずは今のやり方を書き出すことから始めましょう。
マニュアルに入れる基本の項目
SNS運用マニュアルには、次のような項目を入れておくと安心です。
| 項目 | 書いておく内容 |
|---|---|
| 目的とターゲット | 何のために、だれに向けて発信するか |
| アカウント情報の管理 | どのアカウントがあるか、管理者はだれか、ログイン情報の保管場所 |
| 発信のトーン | 言葉づかい、絵文字の使い方、呼びかけ方 |
| 投稿してよいこと・しないこと | 出してよいテーマ、出さない情報 |
| 投稿の手順 | 作る、確認する、予約するまでの流れ |
| コメント対応 | 返信の基本、返さないケース、相談先 |
| トラブル時の対応 | 誤投稿、批判が集まったときの連絡の流れ |
| ふり返りのやり方 | 見る数字、まとめる時期 |
パスワードそのものをマニュアルに書くのは避けましょう。「どこに保管しているか」「だれが管理しているか」だけを書いておくのが安全です。
投稿の手順は「だれが・何を・いつ」で書く
マニュアルの中でいちばんよく使うのが、投稿の手順です。ここはできるだけ具体的に書きましょう。
【投稿手順の書き方の例】
1. 毎週月曜:担当者がネタ帳から今週の投稿を3本選ぶ
2. 月曜〜火曜:担当者が下書きをつくる(AIを使う場合も、事実は担当者が入れる)
3. 水曜まで:確認者が内容をチェックする
4. 木曜:確認ずみの投稿だけを予約投稿に入れる
5. 投稿後:コメントがあれば担当者が当日中に確認する
「だれが」「何を」「いつまでに」を書くと、読んだ人がそのまま動けます。AIで下書きをつくる場合でも、最後は必ず人が確認する、という決まりをここに入れておきましょう。
迷いやすいところは「例」を入れる
ルールだけを書いても、実際の場面ではどうすればよいか迷うことがあります。そこで、よい例とさけたい例をセットにしておくとわかりやすくなります。
- 書き出しの一文のよい例
- 使わない言い回しの例(強すぎる表現、誤解をまねく表現など)
- 写真で気をつけること(写りこんだ書類、ほかのお客さまの顔など)
- よくあるコメントへの返信の例
例は、実際に投稿したものから選ぶのがおすすめです。自社らしさが伝わりやすく、新しい担当者もイメージしやすくなります。
マニュアルを「使われるもの」にするコツ
せっかくつくったマニュアルも、だれも開かなければ意味がありません。使われるマニュアルにするためのコツを紹介します。
短く、見やすくする
長い文章より、箇条書きや表のほうが読まれます。1つの項目は短くまとめましょう。
みんなが見られる場所に置く
担当者のパソコンの中だけにあると、属人化はなくなりません。社内の共有フォルダなど、関係者がいつでも見られる場所に置きます。
定期的に見直す
SNSの機能や会社の方針は変わります。半年に1回など、見直す時期を決めておきましょう。変えた日と内容をメモしておくと、あとから確認しやすくなります。
実際に別の人が使ってみる
つくった人以外がマニュアルだけを見て投稿してみると、足りないところがよくわかります。引き継ぎの前に一度ためしておくと安心です。
最初は1枚から始める
いきなり全部の項目を書こうとすると、手が止まってしまいます。最初は「アカウント情報の保管場所」「投稿の手順」「困ったときの相談先」の3つだけを1枚にまとめるところから始めましょう。それだけでも、急に担当者が休んだときに、ほかの人が動けるようになります。足りないところは、運用しながら少しずつ書き足していけば大丈夫です。
まとめ
SNS運用マニュアルは、担当者が変わっても運用を止めないための大切な道具です。
- 目的、アカウント管理、トーン、投稿の手順、トラブル対応を入れる
- パスワードは書かず、保管場所と管理者だけを書く
- 手順は「だれが・何を・いつ」で具体的に書く
- よい例とさけたい例をセットにする
- 共有の場所に置き、定期的に見直す
社内でマニュアルを育てていける人をつくりたい場合は担当者向けの研修、手順やマニュアルをふくめた仕組みをまとめて用意してほしい場合は構築代行、という進め方もあります。




