「うちは会社相手の商売だから、SNSは関係ない」。BtoB企業の方から、こんな声を聞くことがあります。BtoBとは、会社が会社に向けて商品やサービスを売るビジネスのことです。
たしかに、BtoBの商品はSNSを見てすぐに買われるものではありません。それでも、SNSを使う意味はあります。担当者が情報を調べるとき、会社の考え方や人柄が見えることは、信頼につながるからです。
この記事では、BtoB企業がSNSを運用するときの考え方を紹介します。
BtoBのSNSは「すぐ売る」より「覚えてもらう」
BtoBの取引は、検討に時間がかかることが多く、決めるのも1人ではありません。担当者が調べ、上司に相談し、何社かを比べて決めます。
そのため、SNSの役割は「その場で売ること」より、「必要になったときに思い出してもらうこと」「この会社なら安心だと思ってもらうこと」にあります。
| BtoCのSNSに多い役割 | BtoBのSNSに多い役割 |
|---|---|
| 商品を見て、すぐ買ってもらう | 会社の考え方や専門性を知ってもらう |
| 流行や話題に乗る | 業界の課題について、役立つ情報を出す |
| 多くの人に広く届ける | 必要としている人に、深く届ける |
この考え方をもっておくと、反応の数が少なくてもあせらず、続けやすくなります。
BtoB企業に向いている発信のテーマ
BtoBの発信では、「読んだ人の仕事に役立つか」を軸にテーマを考えるとよいでしょう。
- お客さまの困りごとへのヒント:営業の場でよく聞かれる質問への答え
- 専門知識をやさしく:業界の言葉や仕組みを、わかりやすく説明する
- 仕事の進め方:どんな流れで仕事を進めているか、品質をどう守っているか
- 社員の顔:どんな人が担当しているか、どんな思いで仕事をしているか
- 会社の取り組み:展示会への出展、新しいサービス、社内の勉強会など
特に、営業の人がふだん受けている質問は、よいネタの宝庫です。営業部と協力して、ネタを集める仕組みをつくりましょう。
社員の協力で発信に厚みを出す
BtoBでは、会社のアカウントだけでなく、社員の知識や経験が大きな力になります。現場の人の言葉には、説得力があるからです。
【営業部へのお願いの例】
お客さまからよく受ける質問を、月に1つ教えてください。答え方のポイントもひとことあると助かります。SNSで紹介するときは、お客さまの名前や会社がわからない形にして、投稿前に確認してもらいます。
社員が個人のアカウントで発信する場合は、会社として守ってほしいことをまとめておきましょう。取引先の情報や、まだ発表していない情報を出さないことなどです。無理に発信をお願いするのではなく、やりたい人が安心してできる環境をつくるのが大切です。
成果の見方を決めておく
BtoBのSNSは、数字の見方にも工夫がいります。フォロワーの数だけを追うと、本当に届けたい人に届いているかがわかりません。
- 見てほしい業界や職種の人から反応があるか
- 公式サイトや資料のページに移動した人がいるか
- 問い合わせや商談の場で「SNSを見た」と言われたか
- 採用の面接で、SNSの話が出たか
営業や採用の現場で聞いた声を集めておくと、数字だけでは見えない成果がわかります。成果が出るまでには時間がかかることが多いので、長い目で見ることも大切です。
BtoBのSNSで気をつけたいこと
- 取引先の情報を出さない:実績を紹介するときは、必ず相手の許可をとりましょう。
- 専門用語を使いすぎない:業界の人には当たり前でも、決裁する立場の人には伝わらないことがあります。
- 売り込みばかりにしない:役に立つ情報を中心にして、お知らせはときどきにします。
- 確認の流れを決める:専門的な内容は、まちがいがないか現場の人に確認してもらいましょう。AIで下書きをつくる場合も、事実の確認は必ず人が行います。
- 規約に反する方法を使わない:自動でフォローやいいねをする方法は、会社の信用を落とすおそれがあります。
展示会や営業とつなげる
BtoBでは、SNSだけで完結させず、ほかの活動とつなげると効果が出やすくなります。展示会の前に出展の案内を出し、当日の様子を紹介し、終わったあとに来てくれた方へのお礼を投稿する。営業で名刺を交換した相手が、あとでSNSを見て会社のことを思い出してくれる。こうした流れをつくっておくと、SNSが営業の助けになります。
まとめ
BtoB企業のSNS運用は、「すぐ売る」より「覚えてもらう」「信頼してもらう」ことを目指すのが基本です。
- 読んだ人の仕事に役立つかを軸に、テーマを決める
- 営業や現場の声をネタにする仕組みをつくる
- 社員が安心して協力できるルールを用意する
- フォロワー数だけでなく、現場で聞いた声も成果として見る
- 取引先の情報と、専門的な内容の確認に気をつける
BtoBのSNSを社内で運用できる担当者を育てたい場合は研修、ネタ集めから投稿までの仕組みをつくってほしい場合は構築代行という進め方もあります。自社の体制に合わせて選んでみてください。




